かわむら こども クリニック NEWS 平成7年5月号
今年の喘息
今年の喘息についてお話ししましょう。
今年は、例年にない喘息の当たり年です。喘息のお子さんを持つお母さんは当然ですが、喘息のこどもの点滴の姿を見ることも多いはずです。
喘息を持っている子が重症になるだけでなく、発作を起こしたことのない子まで重症になっています。そして、喘息でもないのに(?)せきが持続して、なかなかと止らない子もいっぱいいます。一体何故なのでしょう。
もちろん、これは当院の周りだけのことではありません。先日、入院させた子を見にいった時、市立病院の中川先生(小児科部長)も「多いときには、一晩に7〜8人も入院する」とおっしゃっていました。もちろん仙台市内全体で、同じ状態のようです。でも誰に聞いても、原因はわからないようです。
一体原因は何なのでしょうか?喘息の原因は、テレビのコマーシャルでもわかるように、多くは、ダニ、ハウスダストを吸入することによって起こります。今年は、ダニやハウスダストが特別多いのでしょうか。他にも喘息を起こしやすくすり要因はたくさんあります。ひとつは季節性です。元々喘息は、春と秋に多いことは知られています。でも今年の秋に何か変わった事があるのでしょうか。9月の中旬に、超大型の台風が日本に上陸したのを覚えていますか。ちょうどその頃から、喘息が目立ち初めました。もちろん季節だけでなく、天候も喘息には大きな影響を及ぼしますが、ずっと台風が居座っているわけでもありません。精神的なストレスも喘息の要因にはなりますは、みんなそろってストレスが増えたとは考えられません。一体何なのでしょうか。
喘息の発作のようにゼーゼーしているこども達を観察しているとどうも他の家族もせきや鼻がでていることが多いように見受けられます。喘息の原因のひとつに、細菌やマイコプラズマやウイルス感染が引き金となって起こるものもあります。先日診療中にゼーゼーする子のお母さんに「喘息って、うつりますか」と聞かれました。案外これって核心をついているのかなと、最近思うようになりました。どうも、喘息の状態を引き起こしやすいウイルスが原因になっているかも知れません。
喘息の怖さをこの季節に知ったお母さんも多いはずです。喘息の重症度も様々です。せきが少し目だって、聴診器で気管支の音が聞こえる程度から一晩中苦しくて横にもなれず体を起こして苦しんでいる子まで様々です。喘息が軽いうちは、重くなることは想像できません。気管支の音が入る子に「薬がなくなる前に連れてきなさい」と言っても、見掛け上せきが治まると連れてこなくなってしまいます。また来て欲しいから言っているのではありません。喘息はかぜとは違います。かぜは、症状が軽くなれば自然に治ってしまいます。喘息の時は、薬で気管支の変化が押さえられているだけのこともあるのです。薬を止めて少したつと、喘息が始まるのを繰り返す子のお母さんは、きっと点滴や入院をしてみないと本当の怖さはわかりません。
喘息は、怖い病気のひとつです。薬や吸入の指示を守って、こどもを苦しみから救う方法を一緒に考えていきましょう。
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