かわむら こども クリニック NEWS  平成22年10月号


すべての子どもたちにすべてのワクチンを!

 今月は新聞の発行が遅れてしまいました。その言い訳ではありませんが、髄膜炎関連ワクチンの仙台市からの助成を獲得するための様々な活動で忙しかったためです。当院と仙台市小児科医会の、ワクチン助成の取り組みをちょっと紹介したいと思います。 10月8日にマスコミから、子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの定期接種化に向けた、全額助成が来年度の補正予算案に盛り込まれることが閣議決定されました。「子宮頸がん等のワクチン接種の促進【厚生労働省】地方自治体における子宮頸がん予防ワクチン・ヒブ(へモフィルスインフルエンザ菌b型)ワクチン・小児用肺炎球菌ワクチンの接種事業に対する支援策を講じる。」の短いもので、半額国費助成とのことですが、時期も含めまだまだ未定の部分もあります。
 当院のワクチンに対する活動としては、「すべての子どもたちすべてのワクチンを」として始まりました。2月号では「新しいワクチンについて」の記事で、ワクチンの紹介とワクチンの必要性を訴えました。子ども手当をワクチン接種に向けることも考えて欲しいとの意識から4月からHPでアンケートを始め、5月号では「子ども手当をワクチンに」として、アンケートとともに、子ども手当の使い道としてワクチンも候補になることを考えてもらうような啓発活動も行って来ました。そのような取り組みが評価を受け、仙台市での子ども手当の支給日には、テレビと新聞で「子ども手当をワクチンに」活動が紹介されたことは、ご承知の通りです。それ以外に、豊橋市の育児情報誌「ママゴン」には、3種類のワクチンの紹介記事をHPにも掲載し、情報を得ることができるようになりました。
 今年4月から仙台小児科医会の会長職を拝命いたしました。今年度の小児科医会の活動のひとつとして、「細菌性髄膜炎関連ワクチンの仙台市からの助成獲得」に取り組みました。具体的には、皆さんのご協力頂いたクリニック内での署名活動を8月から始めました。署名を頂く目的は、小児科医だけがワクチン助成を望んでいるものではなく、市民の方々も望んでいることを強く訴えることが目的です。ただこのような活動は目立つことなく、一般市民に意識が広がりにくいことから、9月23日には一番町フォーラス前で街頭署名活動を行いました。気温が15°Cにも届かない寒い雨の日にも関わらず、医師、スタッフ、家族、患者さん、総勢25人が参加してくれました。患者さんが協力してくれたのは当院だけで、『お母さんクラブ』の会員の梅沢さんと三宅さんに手伝ってもらいました。手製の大きな注射器を胸から下げ、子どもたちに注射器を渡し着ぐるみにしてもらうパフォーマンスはなかなか好評だったようです。在仙すべてのテレビ局が取材に来て、マイク5本をまとめた共同インタビューを初めて経験しました。もちろん当日すべての局で放映されたことは言うまでもありません。当日の署名は500筆以上となり、集計では1万筆を超える署名を集めることができました。ご協力、ありがとうございました。
 さて、これからの活動です。冒頭にも書きましたが、補正予算にワクチン助成が盛り込まれることが決まりましたが、まだまだ未定の部分があるのも事実です。ということで当初の計画通り、活動を続ける予定です。10月中には頂いた署名を携えて、奥山仙台市長にワクチン助成に関する要望書を提出予定です。市長のスケジュールに合わせての要望ですが、はたして直接受け取ってくれるかどうかが心配です。そしてもうひとつ重要な活動は、11月3日(祝)に開催される「細菌性髄膜炎から子どもを守るための市民公開講座」です。たとえワクチンの助成が始まったとしても、親御さんの理解が進まないと接種率が上がりません。市民公開講座の最も重要な要素は、細菌性髄膜炎という病気とワクチンの有効性を知ってもらうことです。公開講座では、ワクチンの専門家、細菌性髄膜炎の現状を把握している医師、髄膜炎で障害を持った保護者、行政の担当者を一堂に会して、細菌性髄膜炎を理解するために様々な方向から講演をしていただきます。このような顔ぶれの方々のお話を聞く機会は、滅多にありません。お友達をお誘いの上、是非参加ください。市民公開講座のポスターチラシを準備してありますので、保育園やお店などで掲示して頂ければと思います。よろしく、ご協力をお願いいたします。
 ワクチンで病気を予防することは、子どもに対する大人の責任です。先進国と言われる日本ですが、ワクチンに関しては、世界的に見てもかなりの後進国です。髄膜炎関連ワクチンに限らず、「すべての子どもたちすべてのワクチンを」のスローガンのもと、これからも子どもたちのために努力していくつもりです。

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