かわむら こども クリニック NEWS  平成19年10月号


小学校で授業をしました

 今回は新聞の発行が少し遅れましたが、ちょっとした理由があるのです。実は、校医をしている小学校で、授業をしてきました。4年生の保健の授業で、テーマ(教科書の記載))は“育ちゆく体とわたし”で、 1.大きくなってきた私の体(身長や体重が中心)、2.すくすく育てわたしの体 (栄養、運動、睡眠が中心)、3.おとなに近づく体(二次性徴:主に外見)、4.からだの中でも始まっている変化(男女の性器、初経、精通、異性、新しい命等)です。これを4時間の授業として、院長が4.からだの中でも始まっている変化を担当することになりました。実は授業にもいくつかの形があるのですが、校医が行なうのはもっぱら外部講師による授業です。この場合は、教科書に内容にそれほど規定されないので、比較的自由に話が出来るものです。もちろん外部講師を含めて、授業は全く初めての経験です。
 初めに4年生の保健の教科書を示された時は、正直驚きました。自分としては、授業で初経や精通等聞いた覚えもありません。もちろん遠い昔の話(45年以上前)なので、おぼえているはずもありません。家内に訪ねると、確か中学生の頃女子だけを集めてそんな話を聞いた覚えがある程度です。これを読んでいるお父さんやお母さんはどうでしたか?。
 教科書の内容に少し詳しく触れてみますので、皆さんの場合と比べてみてください。3.おとなに近づく体では、「腋の下に毛が生える」、「胸がふくらむ」、「性器の周りに毛が生える」などを大人と子どもの男女のイラストが示してあります。こんなことも4年生で教えるのと、戸惑いました。4.体の中で始まっている変化では、女の子にはどんな変化が起るの?と題して、生理の仕組みがイラストと文章で説明されています。男の子にはどんな変化が起るの?では、射精に関してイラストと文章で説明されています。他に体の変化はどうして起るの?として、ホルモンの働きが、新しい命として胎児のイラストと赤ちゃんの写真が示されています。そして最後に思春期と異性について触れ、個人差ということで「自分らしさ」を大切にという結論で終わっています。
 今回の授業は、担任とのコラボレーションでチーム・ティーチング(T.T.)と呼ばれるものです。あくまでも授業の一環として教科書に準じなければならないものです。一週間前に担任が打ち合わせにやって来ました。担任としても難しい単元ということもあり、子どもに不必要な刺激を与えないという意識を強く持っていました。また、研究授業で他の教職員の参観もあり、ずいぶんプレッシャーを感じていたようです。本当に子ども達のことを思うまじめな先生でしたので、ああして欲しい、受精という言葉は使わないで等、多くを要望されました。なかなかすり合わせがうまくいかず、性格が悪い自分は話の途中で授業をおりるとまで言ってしまいました。1時間以上の話し合いのなかで、お互い立場を十分理解することができました。最終的には子ども達のためということで二人協力して授業に望むことになり、自分は10分で初経と精通を説明することになりました。初めての経験でしたが、授業前から本当に難しく感じてしまいました。
 担任にはこちらの希望を無理強いした手前もあり、また校医が侮られては困るという思いから、学会以上に気を使い準備に取りかかりました。土日は資料作成のために時間を費やし、1歩も外に出る余裕もありませんでした。他の仕事をおろそかにする不安のなか連日深夜まで取り組み、10枚以上の写真を使って何とか25枚のスライドに仕上げました。スライドが多くなり過ぎたので、希望を伝え授業を延長してもらい、30分程の時間を頂くことが出来ました。
 当日は子ども達と一緒に、給食を食べて雑談したあと、授業が始まりました。「赤ちゃんはどこから来るの」というテーマで、命の大切さに触れ、みなに支えられて育っていること、そして大人の準備が始まること、始まり方はみな違うことなどを説明し、570gの赤ちゃんの成長や学生実習の赤ちゃん抱っこの写真等も見せながらの授業でした。子ども達は熱心に聴き、反応もよい感じでした。校長始め教職員、PTA(3人)に見つめられ、学会発表以上に緊張した時間でした。授業のあとの校長との話で、よかったとの評価(お世辞?)を得て気が楽になって帰ることができました。子ども達の感想をもらう予定です。さて、どんな感想になるか期待と不安とでいっぱいです。
 事前に何冊かの本を参考にしましたが、お母さん方にもすすめたい本があったので二面で紹介します。今回の授業の組立に役立っただけでなく、育児にも役立つ本です。是非読んでみてください。(初版の記事の一部を変更しました)
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